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永遠の愛を君に 6 (完)
2014 / 10 / 26 ( Sun )
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04 : 14 : 40 | 永遠の愛を君に(完) | page top
眠れぬ夜は誰のせい? 1
2014 / 10 / 26 ( Sun )
「おいっ!一体誰だっ?!こんなにつくしに飲ませたのはっ!!」


豪華絢爛な室内に全く似つかわしくない怒号が響き渡る。
だがそんなことは日常茶飯事になっている彼の友人達は全く狼狽えることもなく平然としたまま。

「総二郎っ、お前かっ?!」

目の前にいた総二郎の胸ぐらに掴みかかる。

「おいおい、俺は何もしてね-ぞ?とばっちりは勘弁してくれよ」

そう言うと、掴まれた手をパンッと振り払った。

「じゃあ誰だよ?あいつが自分であんなに飲むわけねーだろーが!」

怒りマークをいくつも貼り付けたままの司の怒りは収まらない。


ここ半年ほど海外に飛んでいたあきらが久しぶりに帰国したのに合わせて、道明寺邸にいつものメンツで集まった。
気心の知れたメンバーとの時間は楽しく、あっという間にその場は盛り上がった。
だが途中でどうしても外せない仕事の電話が入り、渋々その場を離れたのだが・・・・

20分ほどして戻って来た自分に信じがたい光景が目に入ってきた。
つくしがあり得ないほど泥酔していたのだ。
もともと酒はそんなに強くない。だから進んで飲むような奴じゃない。
それなのに、今目の前にいるつくしは顔を真っ赤にして、自分じゃ真っ直ぐ座っていることもできないほどにベロンベロンになっている。

部屋を離れるまではいつもと何も変わらなかった。
ほんの少し離れた間に一体何があった?!
コイツら以外に原因なんかあるはずがない!!


そうこう考えているうちに、ウトウトし始めたつくしの体がソファの反対側に腰掛けている類の太股の上にコテンと倒れ込んだ。
何やらムニャムニャ微睡むつくしに、こともあろうに類は手を伸ばして頭を撫で撫でしている。
司の怒りのボルテージは爆発しそうなほどに最高潮になった。

「おいっ類!てめぇ触るんじゃねぇっ!!!」

「なんで?だって牧野が自分で倒れてきたんだよ?」

凄まじい音を立てて、凄まじいストライドで近付いてくる司に類はケロッとした顔で答える。

「うるせぇっ!いいから触るな!おい、つくしっ、起きろっ!!!」

あっという間に辿り着くと同時に類の手を払いのけ、つくしの体を引き起こそうと手を伸ばす。
だがすんでのところでその手がパンッと振り払われた。

「やだっ!!さわるなっ!!」

予想外のつくしの行動に司も一瞬何が起こったかわからない。
だがすぐに我に返るとさっきよりも青筋を増やしてつくしの体を掴んだ。

「てめぇふざけんなっ!!いいから類から離れやがれっ!!」

「いーやー!!るい、るいぃ~たすけてぇ~!!」

「うるせぇっ何が類だ!名前で呼んでんじゃねぇよ!」

尚も抵抗を続けるつくしに埒があかず、司はつくしの体を米俵のように担ぎ上げた。





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14 : 17 : 20 | 眠れぬ夜は誰のせい?(完) | コメント(0) | page top
眠れぬ夜は誰のせい? 2
2014 / 10 / 26 ( Sun )
「ぎゃー!!はなせぇ~!!鬼畜っ!エロ男!ろくでなし!変態!チリチリ頭っ!!!」

岸に打ち上げられた魚のようにジタバタと暴れ回る体を力で押さえ込むと、
頭上からはこれでもかと罵倒の言葉が降りかかってくる。

「てめぇふざけんなっ!お前らっ、一体誰がこんなにしたんだよっ!」

「牧野自分で飲んでたよ」

「あ゛ぁ?!」

「だから牧野、自分でガブガブ飲んでたよ」

相変わらず冷静に類が呟く。

「んなわけねーだろ!こいつがこんなになるまで飲むなんてあり得ねぇだろがっ!!」

「司ぁ、ほんとだよ!つくし、司が出て行ってからすごいピッチで飲み始めたんだよ?」

両手に凄い量の食べ物をのせた滋がやって来た。
その隣に桜子もいてうんうんと頷いている。

「私も先輩があんなに飲むのを見るのは初めてだから止めたんですけど、手がつけられないくらいの勢いで・・・
一体何があったんですか?道明寺さん」

「何がって・・・何もねーよ!」

「でも明らかにいつもと何か違ってたぜ?司のアホとかバカとか言ってた気がするけど。お前一体なにやらかしたんだよ?」

あきらの声に振り返ると、気が付けば類以外の全員が集まっていた。
その間もつくしはギャーギャー叫びながら暴れ回っているが、力で司に敵うはずもない。
おまけに酔っ払いだから言ってることも意味不明なことばかり。
ただ、自分を罵倒しているということだけはかろうじてわかる。

「だから何もしてねぇって!」

さっきから一体何なんだ?
全く身に覚えのないことで責められて居心地わりぃったらありゃしねぇ!


「・・・・でも牧野別れるって言ってたよ?」

「・・・・あ?」

ソファにもたれたまま類がサラッと放った言葉に動きが止まる。
振り返って見れば相変わらず飄々とした態度でとんでもない爆弾を投下した。

「だから、『司と別れてやるーー!!』って俺に言ってたよ?」

「なっ・・・・?!てめぇ嘘ついてんじゃねぇよ!」

「嘘なんか言ってないよ。こんな嘘ついて俺になんのメリットがあるっていうの」

そう言う類の顔は嘘をついているようには見えない。

・・・・・マジか?
こいつが?
別れるって・・・・嘘だろう?!


「・・・・・離婚だな」

「あぁ、野獣がついに見切りをつけられる時がきたか」

「司ぁ、つくしは怒ったら怖いんだからね?謝るなら誠心誠意だよ!」

「ごめんなさい道明寺さん、私は先輩の味方ですから」

「大丈夫だよ、牧野なら俺が大事にしてあげるから司は心配しないで」

呆然と立ち尽くす司の周囲で言いたい放題の連中に我に返ると、つくしを担いだまま回し蹴りをかました。
シュッと空を切る音と共に顔まで数センチのところで総二郎が間一髪よける。

「うおわっ!お前危ねぇだろっ!」

「うるせぇっ!!てめぇらがうるせぇんだよ!誰が離婚だ、ふざけんな!!」

そう怒鳴り散らすと、司はドカドカと扉の方へ歩き始めた。

「いやぁ~~!!助けてぇ~!人攫い~!!」

「誰が人攫いだっ!お前は俺の妻だろうが!」

「やだやだやだ~!!!滋ぅ~、桜子ぉ~、類ぃ~!!」

「だから類の名前を呼ぶなってんだろが!お前は・・・・・!・・・・・!・・・・・・・!」


ギャーギャー喚きちらしながら二人の声が徐々に遠ざかっていく。
やがてまるで強力なハリケーンが過ぎ去ったかのような静寂に室内が包まれた。



「・・・・ったく久々に会うってのにあいつらも相変わらずだな」

「だな。まぁ後は自分たちでどうとでもするだろ。俺らは好き勝手させてもらおうぜ」

「滋ちゃんまだまだ食べちゃうもんねーー!!」

「えぇ?滋さんまだ食べる気ですか?!」

「・・・・でもマジなところ牧野はなんでいきなりキレたんだろうな?」

「どうせまた司が何か暴走でもしたんだろ」

やれやれと呆れ気味に一部始終を見送った面々も、すぐにいつものペースを取り戻す。
何事もなかったかのように再び騒ぎ始める中で、類だけは気怠そうにソファーに横たわったまま。



「・・・・さて、返り討ちにあうのはどっちかな」

ボソッと呟いた一言は誰の耳にも届くことはなかった。





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14 : 26 : 22 | 眠れぬ夜は誰のせい?(完) | コメント(0) | page top
眠れぬ夜は誰のせい? 3
2014 / 10 / 26 ( Sun )
ガンガンガンガンッ!!
普通ではあり得ないような足音が邸中に響き渡る。
触らぬ神になんとやら、使用人達はその音が近付いてくると一目散にその場から離れて行き、音が過ぎ去るとまたどこからともなく持ち場へと戻ってきた。

「あんなにイライラしてる司様は久しぶりですねぇ。若奥様が大丈夫だといいんですけど・・・」

「フンッ、あんなのただの痴話喧嘩だよ。どうせ明日になればうんざりするくらい機嫌が良くなってるこって」

「タマさん・・・・」

カツンと杖をつきながら現れたタマに全員が安心したように息を吐いた。
タマはやれやれと呆れたような顔で主の部屋の方向を見つめていた。





バターーーーーン!!ツカツカツカツカツカツカ、ドサッ!!

「おい、つくし!起きろっ!!」

部屋に戻って来るやいなや、司はずっと担いでいたつくしの体を大きなベッドの上に置いた。
その反動で柔らかなベッドの上でつくしの体が跳ねる。
歩きながらその揺れが心地よかったのか、いつの間にかつくしはグースカ眠りこけていた。

「ちっ、お前はいつでもどこでも寝やがって・・・おいっ、起きろ!別れるってどういうことだよっ?!」

司はつくしの肩を手で掴むとゆさゆさと揺らした。

「うぅ~ん、お肉はこれ以上食べられないってぇ・・・・」

だがつくしの口から零れてきたのは何とも気の抜けるような寝言だけ。
一度寝落ちしてしまうとそう簡単には起きないことを嫌というほど熟知している司の額には再び青筋が立ち、思わず舌打ちが出た。

「あぁ、クソッ!類が言ってたことが気になるじゃねぇか!」


『牧野、司と別れるって言ってたよ』


類の放った言葉が頭から離れない。
にわかに信じがたいが、類があんな嘘を言うとも思えない。
じゃあ一体何故?
何か最近問題があったわけでもない。全て順調にいっていたはずだ。

・・・・でももしそう思っているのは自分だけだったとしたら?
つくしは何かしらの不満をずっと抱えていたのだとしたら?
・・・・そうでもなければこんなに泥酔するまで飲むなんてことも考えられない。

まさか本気でそう思ってるのか・・・・?

そんな考えが頭を掠めただけでぶるっと体が震えた。

「くそっ!」

司は怒りと焦りで煮えくりかえった頭を冷静にするために、立ち上がるとバスルームへと向かった。
脱衣所に乱雑に身につけていたものを落としていくと、浴室へと入るなり冷たいシャワーを全身に浴びた。

落ち着け。絶対に何かの間違いだ。
冷静に話せばきっとわかる。
だからまずは落ち着け・・・・

邪念を振り払うかのようにしばらく冷水を浴び続けた。





バスローブを身につけて部屋に戻ってくると、つくしはあのまますやすやと眠っていた。
司はガシガシとタオルで頭を拭きながらつくしのすぐ横に腰掛ける。

「ったくお前は人の気も知らねーで呑気に寝やがって・・・・」

悶々と悩んでいるのがアホらしくなってくるほど幸せそうな顔で眠りこけている。
そんな寝顔を見ていると自然と顔が吸い寄せられていく。
司は体を屈めるとゆっくりとつくしの唇に向かって顔を寄せていった。

あと数ミリで唇に触れるという瞬間、突然予告なしにつくしの目がパチッと開いた。
まるでフランス人形のようなその動きに司は一瞬驚く。

「うおっ!びびった・・・って、起きたのか?」

「・・・・・・・・・」

「・・・・つくし?」

つくしは目の前にいる司をじっと見つめたまま瞬き一つせずにいる。司の呼びかけにも反応しない。
司はそんな様子に怪訝そうに顔をしかめる。

「おい、どうしたんだ?つく・・・・おわっ?!」

ドサッ!!
次の瞬間には世界が反転していた。つくしを覗き込もうとしていた体が凄まじい力でベッドに突き倒されていた。
一瞬何が起こったかわからず見上げてみれば、つくしが自分の腹に馬乗りするように座っていた。その顔は心なしか怒っているように見える。

「おい、つくし?一体どうしたんだよ?」

「おしおきだよ!」

「あ?」

「悪い子にはおしおきしなきゃなんだからっ!!」

何を言っているのかさっぱりわからない。

「お前まだ酔っ払ってるだろ?ちょっと水飲んで落ち着けよ・・・って、わっ!」

起き上がろうとした体が再びベッドに押し返される。つくしは胸に手をあてたまま一歩ずいっとお尻を前に進めた。ちょうど司の腹と胸の間辺りに座っている形だ。

「だから!おしおきだって言ったでしょ?」

相変わらずわけのわからない言葉を繰り返す。

「だからお前何言ってんだ?おしおきってなにがむっ・・・・・!」

呆れたように言いかけた言葉は最後まで言いきることができなかった。何故ならつくしが己の唇を塞いでしまったから。
突然のことに司の体は固まったように動かなくなってしまった。
つくしはそんな司の頬を両手で挟み込むと、ほんの少し開いた口の隙間から自分の舌を差し込んだ。瞬間、司の体が跳ねた。





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14 : 32 : 53 | 眠れぬ夜は誰のせい?(完) | コメント(0) | page top
眠れぬ夜は誰のせい? 4
2014 / 10 / 26 ( Sun )
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