永遠の愛を君に 1
2014 / 10 / 26 ( Sun ) 「健やかなるときも病めるときもこれを愛することを誓いますか?」
「「誓います」」 遠距離開始から6年、数々の壁を乗り越え、 今日道明寺司と牧野つくしは夫婦となった_ 水面に美しい満月が映し出された夜空の下、 2人はプールサイドに寄り添いながら星空を眺めていた。 「悪かったな。本当ならこのまま新婚旅行に行けるはずだったのにこうなっちまって・・・」 「ううん。仕事なんだし全然気にしないで。 それよりも思い出のこの場所で2日間も道明寺と過ごせるだけで充分幸せだよ」 ニコッと屈託のない笑顔を見せるつくしが眩しくて、司は思わず目を細めた。 「もう道明寺じゃねぇだろ?今日からお前も道明寺なんだから」 唇に指を這わせながら顔を覗き込み囁いた。 「あ・・・そう、だよね」 「何て言うんだ?早く呼んでみろよ」 「う・・・」 男のものとは思えない色っぽい視線を全身に浴びて思わず赤面してしまう。 今までも何度となく名前で呼べと言われてきたけれど、 持ち前の性格のせいか、恥ずかしくてどうしても名前で呼ぶことはできなかった。 片手で数えるほどだけはあったが、いずれもベッドの中でこれでもかと酔わされ意識も朦朧とした状態で呼ばされたものばかりだ。 それはそれでどうなんだと思い出しますます赤面してしまう。 「ほら、早く呼んでみろ。奥さん」 ドキン・・・ 奥さん・・・そうか、本当に今日から夫婦になったんだ。 つくしの頬に手を添えて司はじっと瞳を見つめ待っている。 ただそれだけのことなのに、心臓は早鐘を打つようにうるさく響いている。 「つ、つかさ・・・?」 思わずどもってしまったつくしに思わず笑ってしまう。 「ぷっ、お前なんで疑問系なんだよ?ほら、もっかい」 「だ、だって!・・・・・・つかさ。司」 もう7年もの付き合いだというのに、名前を呼ぶだけで顔を真っ赤にする自分の妻が愛しくて愛しくてたまらない。 「つくし、愛してる」 頬に添えた手に力を入れると、どちらからともなく顔を寄せ合い口づけをかわした。 プールの水面にはぴたりと寄り添う2人の影が幻想的に映し出されていた。 衝撃的な出会いから7年。 数々の妨害、4年に渡る遠距離恋愛、 司の帰国後にも断続的に続いた中・長距離恋愛を乗り越え、 ついに2人は夫婦となった。 大財閥の次期社長の結婚は世間を賑わせ、 ましてやそのお相手が完全なる庶民だということで、マスコミは連日大騒ぎとなった。 しかも司が渡米する際に結婚宣言をしていた相手との純愛を貫いたことで、思わぬ形で会社の株まで上がる始末だ。 財閥の御曹司ということで大々的な披露宴は避けて通れなかったが、 全てが終わったら2人きりでヨーロッパにある別荘を中心に新婚旅行に行く予定だった。 が、式を目前に控えた時期に支社でのトラブルが発覚。 司が出ざるを得ない状況に陥ってしまったため当初の予定が延期されることとなってしまったのだ。 昔から忍耐強いつくしはこの状況にも何一つ不満をもらすことはなく、 むしろ「あんたにしかできないことなんだよ。頑張って!」と背中を押されてしまった。 そんなつくしだからこそ愛してやまないのだが、 寂しいと思っていたところでそれを口に出すような女じゃない。 仕事でトラブルが起こったような状況では尚更自分の気持ちなんて顧みようともしない。 司にはそれが痛いほどわかっていたから、何としても2人だけで過ごす時間を作らせた。 それがあの思い出のコテージだった。 たった2日間しか時間は作れなかったが、それでも2人きりの時間を過ごせる。 予想していなかったつくしは驚いていたが、その後は素直に心から嬉しそうにしてくれた。 「私のために無理してくれたんだよね。ごめんね。でもありがとう」 「違う。俺がどうしてもお前といたかったんだ。 だって夫婦になったばっかだぞ?嫌というくらい一緒にいなくてどうすんだ」 「ぷっ!・・・あんたらしいね。でもありがとう」 _あぁやっぱり。 この世の中どこを探したってこいつ以外に愛せる女はいない。 こいつだけが俺の全てを満たしてくれる・・・ ![]() ![]() スポンサーサイト
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