眠れぬ夜は誰のせい? 6
2014 / 10 / 26 ( Sun ) |
眠れぬ夜は誰のせい? 7
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眠れぬ夜は誰のせい? 8
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眠れぬ夜は誰のせい? 9
2014 / 10 / 26 ( Sun ) ベッドに突っ伏して死んだ者のように眠る愛しい妻の頭をそっと撫でる。
あれから気が付けば2時間ほど、休む間もなくぶっ通しで抱き潰した。 一晩中お預けを食らった煽られたままの体は一度や二度では鎮まるはずもなかった。 白くてキメの細かな肌にそっとシーツをかけると、司はベッドから抜け出し隣室へと移動した。 そしてスマホを手にしてどこかへかけ始める。 RRRRRRRRRR・・・・・・・・ 『・・・・・・・はい』 「俺だ。お前何を知ってる?」 『・・・・・・・何?いきなりこんな朝早くに電話してきたと思ったら。俺まだ寝てたんだけど』 「いいから教えろ。お前本当は何があったか知ってんだろ?類」 明らかに寝起きの不機嫌そうな声など気にすることもなく司は類に詰め寄った。 『・・・・詳しくは知らないよ。でも牧野、司が勝手すぎるって怒ってたよ。自分の事は棚に上げすぎだって』 「はぁ?意味がわかんねぇ」 『俺に言わないでよ。でも自分は嫉妬深くて独占欲の塊なのに、自分がキスされたのはサラッと流すだけなんて理不尽だって言ってた』 「はぁ~?誰がキスされたって?」 類の言っていることが全くもって理解できない。 『司でしょ?牧野が言ってたよ。司に仕事先でキスされたって自慢気に話されたって』 「はぁああ?!俺がそんなことするわけねぇだろうが!」 思わず大きな声が出る。おそらく類は携帯を耳から離して顔をしかめているに違いない。 『・・・・・だから俺に言わないでよ。牧野が言ってたんだから。なんでも、牧野がいない時のパーティの席で女にキスされたんでしょ? で、帰って来てそれを司にニヤニヤしながら話されたって。そのくせ自分はちょっとでも俺と仲良くしてるだけでキレるから頭にきたって』 「キスぅ~?俺がそんなこと女にさせるわけ・・・・・・・・・・・・・っあっ!!」 何かを思い出したように司の口から声が出た。 『・・・・・・・何、やっぱり身に覚えがあるの?』 「いや、あるっつーかなんつーか、あれは・・・・」 いつだったか、つくしが調子が悪くてどうしてもパーティに出られない時があった。 一人で出席したその場で仕事でよく顔を合わせるとある企業の夫妻と挨拶したときのことだ。 3歳ほどの可愛らしい女の子を紹介され、その時に司の口にチュッとされた記憶が蘇ってくる。 今の今まで覚えてもいなかったが、たまにはつくしにヤキモチの一つでもやいてもらいたいと、 いかにも大人の女からされたように話をしたような・・・・・・気がする。 でもあの時は悔しいほど何の反応もされずに華麗にスルーされて、こんなことなら言うんじゃなかったと後悔すらしたほどで。 だからこそ記憶から抹殺されていたのだが・・・・・・まさかずっと気にしてたのか? つーかやっぱヤキモチやいてたんか? そう考えると司の口元が思わず緩んでくる。 『・・・・ちょっと、ニヤニヤするなよ?司』 どこかに監視カメラでもついているのだろうか。 類の的確な指摘に司は思わず周りをキョロキョロと見渡してしまう。 『まぁどうせそんなことだろうとは思ったけど。でもくだらないことで俺を巻き込まないでよ』 「く、くだらねぇとはなんだ!くだらねぇとは!」 『だってそうじゃん。で?仲直りはできたの?』 「お?おぉ、まぁな・・・・」 夕べのつくしの妖艶な姿と先程までの情事が蘇り、司の顔は完全に緩みっぱなしだ。 類はそんな様子が手に取るように想像できてはぁっと大きく溜息をついた。 『だったらいいじゃん。でもあんま牧野を束縛するなよ?そのうちほんとに嫌気さされても俺知らないから』 「なっ!誰がだよ!んなわけねーだろがっ!」 『うるさいなー、もういいでしょ?俺寝るから。じゃあね』 「おい、類っ!るっ・・・・・」 聞こえてくるのはツーツーという無機質な音だけ。 司はそんなスマホをじっと見つめながら緩みっぱなしの顔を戻すことができないでいる。 「・・・・何だよつくしのやつ。何の興味もないような振りして可愛いところあんじゃねぇか」 あいつがヤキモチをやくなんて、宝くじが当たるよりも難しいことなんじゃねぇか? まぁ俺には宝くじ自体必要ないんだが。 ・・・・・でもヤキモチやいて酔っ払うとあんなにエロくなんのか・・・・・ たまにはああいうあいつも悪くねぇな。 なんて、司の頭の中でよからぬ欲望がムクムクと沸き上がっていた。 一方その頃__ スマホをベッドに投げると、類は再びその体をベッドに横たえた。 そして目を閉じようとした瞬間ふと独りごちる。 「・・・・・・どうやら今回は返り討ちにあったのは牧野みたいだね。司のことだから味をしめてまたよからぬことを考えそうだけど。 でも牧野もバカじゃないからそうそう上手くはいかないよ。次こそ痛い目あわなきゃいいけど。・・・ま、俺には関係ないけどね」 そんな事を言うとやれやれと再び深い眠りについたのだった。 ![]() ![]() |
眠れぬ夜は誰のせい? おまけ
2014 / 10 / 28 ( Tue ) カサッパサッ・・・
カタカタカタ・・・・ どこからともなく聞こえてくる音につくしはゆっくりと瞼を上げた。 「・・・・あれ・・・・?」 すぐに状況が掴めないが、どうやらいつものベッドで寝ていたようだ。 「起きたか?」 起きようと少しだけ体を動かしたところでかかった声の方向に目をやると、 ベッドにほど近い所にあるテーブルに座ってパソコンと向き合っている司がこちらを見ていた。 「あ、おはよう」 条件反射のようにつくしがそう言うと、口角を上げて司がフッと不敵に微笑んだ。 そして立ち上がるとゆっくりつくしのいる場所へと近付いてくる。 「おはようじゃねぇだろ?もう昼だぜ?」 「えっ?!」 その言葉にガバッと飛び起きる。 「いい眺め」 「えっ?・・・・・ってぎゃあっ!!」 ニヤニヤと満足そうにこちらを見ている司に不思議に思い視線を下げると、全身真っ裸の自分がいた。 つくしが慌てて布団を頭から被ると、司が吹き出した。 「ブッ!お前、ぎゃあって・・・・もうちっと色気のある言い方できねーのかよ」 「で、できない!っていうか・・・・・」 ようやく頭が覚醒してきて蘇る。 起きてから怒濤の如く襲われたあんなことやそんなことの数々・・・・ もともと野獣化しやすい男だったけれど、あそこまで凄いのは初めてだった。 あ、あ、あんな・・・・・・・ 「ちょっと!あんた一体どういうつもり?いきなりあんなことするなんて!」 顔を真っ赤にしてプルプルと怒り狂うつくしだが、司は涼しい顔のまま。 「それはこっちのセリフだろ?俺言ったじゃねぇか。もともと煽ったのはお前だって」 「はぁ?一体何を言って・・・・」 司はドサッとベッドに腰掛けると、顔を赤くしたままのつくしの顎をクイッと持ち上げた。 至近距離で見る男の美しさに、つくしはまた違った意味で赤くなる。 「言っとくけど、先に俺を襲ったのはお前だぞ?」 「う、嘘っ!」 「嘘じゃねーよ。俺が戻ったらお前信じられねぇくらい酔っ払ってたんだぞ。で、部屋に連れて来たらお前が俺に襲いかかってきたんだ」 「そんなわけない!」 「じゃあこれ見てみろよ」 そう言うと司は着ていたシャツのボタンをいくつか外し、胸元を開いてつくしに見せた。 そこを見たつくしがハッとした顔になるのを司は満足そうに見やる。 「こんな跡誰がどうやってつけるんだよ?俺にこんなことができるのはお前しかいないだろ?」 「う、嘘でしょ・・・・?」 つくしの目の前に見えるもの。 それは司の胸元にいくつもつけられたキスマークの数々。 それがキスマークであることはいつもつけられる側のつくしにとっては確信のもてるもので。 司の言う通り彼にこんなことができるのは自分以外にはあり得ない。 仮に集団で彼を襲う輩がいたとしても、返り討ちにあって半殺しされるのがオチだ。 「ここだけじゃねーぞ?」 「えっ?」 「際どいところにもつけたんだぜ、お前。見てみるか?」 そう言ってズボンに手をかけようとしたところで慌ててつくしは止めに入る。 「ぎゃーっ!もういいから!見なくていいからっ!!わっ?!」 ガバッと自分の体に飛びついてきたつくしの体を捉えると、司はギュッと胸の中に抱きしめた。 何も身につけていないつくしの体に直に熱が伝わってくる。 「お前マジで凄かったぞ。俺を押し倒すわ、手を縛るわ、手と口で襲ってくるわ、挙げ句の果てには自分で入れて・・・・」 「わーーーーわーーーーーーーわーーーーー!!それ以上言わないでぇっ!!!」 信じられないとばかりに首を振って耳を塞ごうとするが、体をがっちりホールドされていて身動きが取れない。 「バカ、この後が重要なんだよ。散々煽って自分で突っ込んでおきながらお前どうしたと思う? そのまま寝たんだぞ?ありえねーだろ?突っ込んだままでだぞ?」 ガガーーーーン・・・・ そこまでバカやったの? 我ながらあり得なさすぎる・・・・・・・どこかに消えたいくらい恥ずかしすぎる。 つくしは自分の失態ぶりに失神しそうだった。 「そのままやっちまおうかと思ったけど我慢したんだぞ?だから俺は悪くねぇ」 「で、でもっ!物事には限度ってものが・・・・!」 「あの状態で一晩中お預けくらったんだ。あれくらい当然だろ?俺はまだまだいけたし。何なら今からやるか?」 「ムっ、ムリムリムリムリっ!!!!これ以上はムリっ!!!!!本気で死ぬっ!!!」 顔面を蒼白にしながら首がもげるんじゃないかという勢いで振りまくる。 そんなつくしがおかしくて司はまたしても吹き出した。 「ぶっ!お前おもしれぇな。夕べと同一人物とはとても思えねぇよ」 「も、もうそのことは忘れて・・・・・」 ピタッと動きを止めると今度はグッタリと項垂れてしまった。 「くくっ、それは無理だな。・・・まぁ、またいつかああいうお前に会える日を楽しみにしてるぜ」 「えっ・・・・?!それはないっ!もう二度と同じ過ちは起こさないから!」 「それはどうだろうな?」 司が意味ありげな顔でニヤリと笑う姿に思わずつくしの背筋がゾクッと震えた。 この笑顔は何かを企んでる時だ・・・・・! 「シャワー浴びるだろ?とりあえず体は拭いといてやったけどよ」 「えぇっ?!」 「仕方ねぇだろ?お前は気ぃ失っちまうし、かといってそのままだったら全身ドロドロだったぜ、お前」 「ドっ・・・・・・・・・?!」 ドロドロ・・・・?全身・・・・・? もうほとんど途中から意識も朦朧としていてどんなことをされたか覚えていない。 覚えているところだけでも充分恥ずかしすぎるのに、さらにそれ以上・・・・? 赤くなったり青くなったり忙しいつくしを抱き上げると、司はそのままバスルームへと歩き出した。 「ちょっ、自分で行けるから!」 「どう考えても無理だろ?今のお前は絶対に一人じゃ立てないぜ」 「・・・・・!」 「俺も多少やり過ぎたのは自覚してるからちゃんと隅々まで世話してやる。安心しろ」 「だからそれが一番安心できないっ!」 「大丈夫だって。今はしねーよ。・・・・・・・・・・・・・最後まではな」 ニヤリと笑いながらそう言うと、司は暴れ回るつくしに構うことなく足取りも軽くバスルームへと消えていった。 ***** それから数分後、ようやく空になった部屋にタマを含めた数人が掃除にやって来た。 夕べから籠もりっきりだったせいでいつ入るかとタイミングを伺っていたのだ。 部屋に入るなり使用人は慌ただしく掃除を始めていく。 主が出てくるまでに仕上げなければならないから時間との勝負だ。 『・・・・・・ぎゃあ~~~!!・・・・・・ちょっと・・・・・・!・・・・どこ触ってんのよ!・・・・・・・やめてってばぁ!・・・・・!・・・!』 せっせと動き回る室内にバスルームの方から断末魔に似た叫び声が響いてくる。 「・・・・ったく、これだけ部屋中にやりまくりました臭を漂わせておきながら何を今さら恥ずかしがってんだかね、あの子は。 やることやりまくっておきながら今さらカマトトぶってんじゃないよ」 やれやれと溜息をつきながらタマの零したその一言に、シーツやタオルなど、 いかにもその痕跡がはっきりと残されている物を手にしていた使用人が真っ赤にフリーズしたのを当の本人達は知る由もない。 ![]() ![]() |