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眠れぬ夜は誰のせい? 2
2014 / 10 / 26 ( Sun )
「ぎゃー!!はなせぇ~!!鬼畜っ!エロ男!ろくでなし!変態!チリチリ頭っ!!!」

岸に打ち上げられた魚のようにジタバタと暴れ回る体を力で押さえ込むと、
頭上からはこれでもかと罵倒の言葉が降りかかってくる。

「てめぇふざけんなっ!お前らっ、一体誰がこんなにしたんだよっ!」

「牧野自分で飲んでたよ」

「あ゛ぁ?!」

「だから牧野、自分でガブガブ飲んでたよ」

相変わらず冷静に類が呟く。

「んなわけねーだろ!こいつがこんなになるまで飲むなんてあり得ねぇだろがっ!!」

「司ぁ、ほんとだよ!つくし、司が出て行ってからすごいピッチで飲み始めたんだよ?」

両手に凄い量の食べ物をのせた滋がやって来た。
その隣に桜子もいてうんうんと頷いている。

「私も先輩があんなに飲むのを見るのは初めてだから止めたんですけど、手がつけられないくらいの勢いで・・・
一体何があったんですか?道明寺さん」

「何がって・・・何もねーよ!」

「でも明らかにいつもと何か違ってたぜ?司のアホとかバカとか言ってた気がするけど。お前一体なにやらかしたんだよ?」

あきらの声に振り返ると、気が付けば類以外の全員が集まっていた。
その間もつくしはギャーギャー叫びながら暴れ回っているが、力で司に敵うはずもない。
おまけに酔っ払いだから言ってることも意味不明なことばかり。
ただ、自分を罵倒しているということだけはかろうじてわかる。

「だから何もしてねぇって!」

さっきから一体何なんだ?
全く身に覚えのないことで責められて居心地わりぃったらありゃしねぇ!


「・・・・でも牧野別れるって言ってたよ?」

「・・・・あ?」

ソファにもたれたまま類がサラッと放った言葉に動きが止まる。
振り返って見れば相変わらず飄々とした態度でとんでもない爆弾を投下した。

「だから、『司と別れてやるーー!!』って俺に言ってたよ?」

「なっ・・・・?!てめぇ嘘ついてんじゃねぇよ!」

「嘘なんか言ってないよ。こんな嘘ついて俺になんのメリットがあるっていうの」

そう言う類の顔は嘘をついているようには見えない。

・・・・・マジか?
こいつが?
別れるって・・・・嘘だろう?!


「・・・・・離婚だな」

「あぁ、野獣がついに見切りをつけられる時がきたか」

「司ぁ、つくしは怒ったら怖いんだからね?謝るなら誠心誠意だよ!」

「ごめんなさい道明寺さん、私は先輩の味方ですから」

「大丈夫だよ、牧野なら俺が大事にしてあげるから司は心配しないで」

呆然と立ち尽くす司の周囲で言いたい放題の連中に我に返ると、つくしを担いだまま回し蹴りをかました。
シュッと空を切る音と共に顔まで数センチのところで総二郎が間一髪よける。

「うおわっ!お前危ねぇだろっ!」

「うるせぇっ!!てめぇらがうるせぇんだよ!誰が離婚だ、ふざけんな!!」

そう怒鳴り散らすと、司はドカドカと扉の方へ歩き始めた。

「いやぁ~~!!助けてぇ~!人攫い~!!」

「誰が人攫いだっ!お前は俺の妻だろうが!」

「やだやだやだ~!!!滋ぅ~、桜子ぉ~、類ぃ~!!」

「だから類の名前を呼ぶなってんだろが!お前は・・・・・!・・・・・!・・・・・・・!」


ギャーギャー喚きちらしながら二人の声が徐々に遠ざかっていく。
やがてまるで強力なハリケーンが過ぎ去ったかのような静寂に室内が包まれた。



「・・・・ったく久々に会うってのにあいつらも相変わらずだな」

「だな。まぁ後は自分たちでどうとでもするだろ。俺らは好き勝手させてもらおうぜ」

「滋ちゃんまだまだ食べちゃうもんねーー!!」

「えぇ?滋さんまだ食べる気ですか?!」

「・・・・でもマジなところ牧野はなんでいきなりキレたんだろうな?」

「どうせまた司が何か暴走でもしたんだろ」

やれやれと呆れ気味に一部始終を見送った面々も、すぐにいつものペースを取り戻す。
何事もなかったかのように再び騒ぎ始める中で、類だけは気怠そうにソファーに横たわったまま。



「・・・・さて、返り討ちにあうのはどっちかな」

ボソッと呟いた一言は誰の耳にも届くことはなかった。





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