幸せの果実 1
2015 / 02 / 27 ( Fri ) 幸せってなんだろう?
幸せってどんな色? 幸せってどんな形? お金で買える幸せもあれば、 お金では絶対に手に入らない幸せもある きっと幸せは何か特別なことなんかじゃなくて 何でもない日常の中にたくさん潜んでいるものなんだ それに気づくことができることが一番の幸せ 朝笑っておはようと言えるそんな毎日が、今何よりの幸せ・・・ 「あふ・・・」 「夕べはよく眠れなかったんですか?」 そのまま人一人くらいなら吸い込んでしまうのではないかと思えるほどの大あくびを前に、目の前の使用人が心配そうに顔を覗き込んでいる。 「えっ? あっ、いや、いえいえいえ、そんなことは・・・」 「そりゃあそうさね。新婚さんに無粋なことを聞くんじゃないよ」 「えっ? ・・・あっ! これは大変失礼致しました!」 何かに思い当たったのか、しまったというような顔になって慌てて頭を下げられた。 「えっ、ちょっ、違いますから! ちょっと、タマさんっ! 誤解を招くようなことは言わないでくれますかっ?!」 「ほぉ~、誤解、ねぇ・・・?」 「うっ・・・」 「今朝は随分坊ちゃんの機嫌がよござんしたけどねぇ。朝からあんなにご機嫌な坊ちゃんなんてめったにお目にかかれないから、てっきりいいことでもあったんだと思ったんですけどねぇ。まぁまぁ、一体何がそんなに嬉しかったんでしょうかねぇ・・・?」 うぅっ・・・! この人は相変わらずっ! えぇえぇ、ご指摘の通りがっつり寝不足でございますよ。 ぜーーーーーんぜん眠れなかったですよ! っていうか眠らせてもらえなかったですよ! 眠らせて・・・・・・ ぼわんとつくしの脳裏に夕べの出来事が蘇る。 『 やっ・・・もうムリっ・・・ 』 『 ムリじゃねーだろ。お前のココはもっとって言ってる 』 『 あっ・・・ダメっ・・・! 』 『 ダメじゃねぇ。 ほら、もっと腰上げろ 』 『 や、ぁっ・・・! 』 一晩中続いたあんなことやこんなことに、全身が一瞬でカーーーーッと熱くなる。 ここ最近月のものでずっとお預け状態が続いていたのだが、昨日になってようやくそれが解禁されたとわかると、仕事で疲れているにもかかわらず朝までひたすら翻弄され続けた。 前々から思っていたことだが、何故あの男はあんなにも底なしの体力があるのだろうか。 いくらここ数日お預けだったからとはいえ、あの体力は尋常じゃない。 仕事だって決して楽なわけではない。 遅くなることはザラだし、連日遠方へ飛び回ることだって少なくない。 それだというのあんな、あんな・・・・・・ 発情期の獣かっ!!! 「ほぉ~~、獣かい。いかにも坊ちゃんらしいねぇ」 「えっ?!」 ハッと我に返ればタマがたいそうご満悦そうにニヤニヤしながらこちらを見ている。 その向こうにいる使用人の女性は心なしか頬が赤く見えるのは気のせいか。 ま、まさか・・・ 「相変わらずあんたは心の声がダダ漏れだねぇ。まぁこちらとしては面白くていいんだけどね」 「なっ・・・?!」 「そうかいそうかい。それならあんた達の御子をこの手に抱ける日もそう遠くなさそうだねぇ」 羞恥のあまりプルプルと震えるつくしなどお構いなし、タマはふぉふぉふぉとまるで仙人のように声高らかに笑い飛ばす。 「~~~~もうっ! タマさんっ!!!」 「わっはははは! あたしゃー何も悪くないさね。あんたが一人で喋っただけじゃないか」 「そうかもしれないけど・・・意地悪ですよっ!!」 「いいじゃないか。夫婦が仲睦まじくて何が恥ずかしいことがあるのさ。いいことなんだからもっと胸を張りな」 胸を張れと言われても、あんなことやこんなことで・・・ そこまで考えて再び蘇りそうになった記憶を慌てて振り払う。 真っ昼間っから考えることじゃないっ!! 「でもつくし様、どんどんお綺麗になられてますよね」 「えっ?」 これまでずっと恥ずかしそうに会話を聞き流していた使用人が一転、ニコニコと嬉しそうに話し始めたかと思えば全くの想定外のことを言い出した。 「以前から素敵な方でいらっしゃいましたけど、ご結婚なされてからは日に日にお綺麗になられていると使用人の間でも専らの評判ですよ」 「は、はぁっ?! いやいやいや、そんなバカな」 「バカなことではございませんっ!! 本当ですからっ!!」 いつも笑顔を絶やさずほんわかがトレードマークの女性のその変わりっぷりに思わずつくしも姿勢を正す。 こういう女性の方が意外と強かったりするものだろうか? 世間で言うギャップ萌えってこんな感じ? ・・・っていやいや、そういうことではなくて。 「やだ、私ったら・・・大変失礼致しました。でも本当なんですよ? 制服に着替えているときなんかによく話題にあがるんです。つくし様がどんどんお美しくなられてるって」 「えぇ~・・・?」 美しいだなんて言葉、自分からは一番遠いところにあるものだろうに。 「まぁまぁ、あんたがどう思おうとこの子達からはそう見えてるってことさね。ありがたいことじゃないか」 「は、はぁ、それはまぁ・・・」 「あっははは! あんたは本当に変わった子だねぇ。褒められて困るなんて一体どういうことだい?」 「あ、ははは。慣れてないもので。逞しいとか強いとかなら慣れてるんですけどね」 「まぁ、つくし様ったら。ふふふ」 「はい。では採寸は全て大丈夫です。もう手を下ろされて大丈夫ですよ」 「あ、は~い」 談笑している間も真剣な顔でせっせと仕事に励んでいた目の前の女性がにこっと笑った。 今日はつくしのウエディングドレスのための採寸の日だ。 2人が帰国して約1ヶ月。 その日のうちに籍を入れて晴れて夫婦となったが、式などはお預け状態だった。 正直なところ、つくし的にはしなくても構わないと思っていたのだが、お家柄そういうわけにもいかず。帰国直後は司が多忙を極めたためゆっくりと準備する時間も取れなかったが、最近ようやく落ち着きを取り戻してきたのに合わせて急ピッチで準備が進められていた。 つくしは全く気づいていなかったが、NYでの正式発表後、ある程度の予定は既にビジネスで繋がりのある相手先には知らされていたのだという。 やはり上流社会。 色々とつくしには理解できない暗黙のルールというものが存在するらしい。 仕事とのバランスを考えた結果、式は1ヶ月後に執り行われることとなった。 式は身内と極々親しい者だけで行われるが、その後の披露宴には相当な数の招待客が来るらしい。 当然ながらドレスはオーダーメイド。 一応レンタルで十分だと主張してみたものの、 『 バカ言ってんじゃねぇよ 』 の一言で瞬殺されてしまった。 つくしだって女のはしくれ。 ウエディングドレスを着ることへの憧れもある。 だが目が飛び出すほどの値段がするあろうドレスを身に纏うなんて、想像するだけで恐ろしい。 「つくし様、いよいよですね」 「そうですねぇ・・・」 「嬉しくないのですか?」 「いや、もちろん嬉しいんですけど、ある意味では不安というか・・・」 「不安?」 「いやほら、相当な人数が集まるんでしょう? やっぱりそこだけは慣れないっていうか・・・」 「全く、あんたは何から何まで相変わらずだねぇ・・・」 「そりゃそうですよ。三つ子の魂百までって言うじゃないですか。仮に100歳までこの邸で生きたとしても、私の庶民根性は永久に不滅ですよ」 「ふふふっ、つくし様ったら」 タマの言葉に胸を張って反論するつくしにその場にいた女性全員がぷっと吹き出した。 「まぁあんたの場合は変わらない方がいいんだろうねぇ」 「え?」 「あんたはこの先子どもが出来ても、ずーーーっとあんたらしさをなくさないで自分らしくやっていけばいいのさ。道明寺夫人だからこうしなきゃなんて考える必要はないんだよ。坊ちゃんだってそんなことはあんたに望んじゃいないさ。表の舞台は男に任せて、あんたは坊ちゃんが安心して帰ってこられる家庭を作ってやんな」 「タマさん・・・」 長年この邸を見守り続けてきたタマの言葉は一つ一つが重い。 「・・・タマさん、ずっと聞いてみたかったことなんですけど・・・」 「なんだい?」 「その・・・お義母さんがこのお邸に来たときってどんな感じだったんですか?」 つくしはこれまでずっと心の中にはあれども一度だって言葉にはしなかったことを、司にすら聞いたことのない楓の昔のことを、この時初めて口に出していた。
お待ちかねの新婚編スタートです。 思うように時間が作れなかったため、予定より内容量を減らして、ボリュームよりも更新することを優先させていただきましたm(_ _)m 今作も歩く事故発見器の活躍をご期待ください(笑) |
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by: * 2015/02/27 00:48 * [ 編集 ] | page top
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初めまして! 司とつくしのお話が読めて幸せですー!(;_;) 更新、大変だと思いますが楽しみにしています! --名無し様--
はじめまして^^ これからも色んな2人の愛の形をお届けしていきたいと思っています。 どうぞよろしくお願い致しますね(*´∀`*) --管理人のみ閲覧できます--
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