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眠れぬ夜は誰のせい? 9
2014 / 10 / 26 ( Sun )
ベッドに突っ伏して死んだ者のように眠る愛しい妻の頭をそっと撫でる。
あれから気が付けば2時間ほど、休む間もなくぶっ通しで抱き潰した。
一晩中お預けを食らった煽られたままの体は一度や二度では鎮まるはずもなかった。

白くてキメの細かな肌にそっとシーツをかけると、司はベッドから抜け出し隣室へと移動した。
そしてスマホを手にしてどこかへかけ始める。


RRRRRRRRRR・・・・・・・・


『・・・・・・・はい』

「俺だ。お前何を知ってる?」

『・・・・・・・何?いきなりこんな朝早くに電話してきたと思ったら。俺まだ寝てたんだけど』

「いいから教えろ。お前本当は何があったか知ってんだろ?類」

明らかに寝起きの不機嫌そうな声など気にすることもなく司は類に詰め寄った。

『・・・・詳しくは知らないよ。でも牧野、司が勝手すぎるって怒ってたよ。自分の事は棚に上げすぎだって』

「はぁ?意味がわかんねぇ」

『俺に言わないでよ。でも自分は嫉妬深くて独占欲の塊なのに、自分がキスされたのはサラッと流すだけなんて理不尽だって言ってた』

「はぁ~?誰がキスされたって?」

類の言っていることが全くもって理解できない。

『司でしょ?牧野が言ってたよ。司に仕事先でキスされたって自慢気に話されたって』

「はぁああ?!俺がそんなことするわけねぇだろうが!」

思わず大きな声が出る。おそらく類は携帯を耳から離して顔をしかめているに違いない。

『・・・・・だから俺に言わないでよ。牧野が言ってたんだから。なんでも、牧野がいない時のパーティの席で女にキスされたんでしょ?
で、帰って来てそれを司にニヤニヤしながら話されたって。そのくせ自分はちょっとでも俺と仲良くしてるだけでキレるから頭にきたって』

「キスぅ~?俺がそんなこと女にさせるわけ・・・・・・・・・・・・・っあっ!!」

何かを思い出したように司の口から声が出た。

『・・・・・・・何、やっぱり身に覚えがあるの?』

「いや、あるっつーかなんつーか、あれは・・・・」



いつだったか、つくしが調子が悪くてどうしてもパーティに出られない時があった。
一人で出席したその場で仕事でよく顔を合わせるとある企業の夫妻と挨拶したときのことだ。
3歳ほどの可愛らしい女の子を紹介され、その時に司の口にチュッとされた記憶が蘇ってくる。
今の今まで覚えてもいなかったが、たまにはつくしにヤキモチの一つでもやいてもらいたいと、
いかにも大人の女からされたように話をしたような・・・・・・気がする。

でもあの時は悔しいほど何の反応もされずに華麗にスルーされて、こんなことなら言うんじゃなかったと後悔すらしたほどで。
だからこそ記憶から抹殺されていたのだが・・・・・・まさかずっと気にしてたのか?
つーかやっぱヤキモチやいてたんか?
そう考えると司の口元が思わず緩んでくる。

『・・・・ちょっと、ニヤニヤするなよ?司』

どこかに監視カメラでもついているのだろうか。
類の的確な指摘に司は思わず周りをキョロキョロと見渡してしまう。

『まぁどうせそんなことだろうとは思ったけど。でもくだらないことで俺を巻き込まないでよ』

「く、くだらねぇとはなんだ!くだらねぇとは!」

『だってそうじゃん。で?仲直りはできたの?』

「お?おぉ、まぁな・・・・」

夕べのつくしの妖艶な姿と先程までの情事が蘇り、司の顔は完全に緩みっぱなしだ。
類はそんな様子が手に取るように想像できてはぁっと大きく溜息をついた。

『だったらいいじゃん。でもあんま牧野を束縛するなよ?そのうちほんとに嫌気さされても俺知らないから』

「なっ!誰がだよ!んなわけねーだろがっ!」

『うるさいなー、もういいでしょ?俺寝るから。じゃあね』

「おい、類っ!るっ・・・・・」

聞こえてくるのはツーツーという無機質な音だけ。
司はそんなスマホをじっと見つめながら緩みっぱなしの顔を戻すことができないでいる。

「・・・・何だよつくしのやつ。何の興味もないような振りして可愛いところあんじゃねぇか」

あいつがヤキモチをやくなんて、宝くじが当たるよりも難しいことなんじゃねぇか?
まぁ俺には宝くじ自体必要ないんだが。

・・・・・でもヤキモチやいて酔っ払うとあんなにエロくなんのか・・・・・
たまにはああいうあいつも悪くねぇな。
なんて、司の頭の中でよからぬ欲望がムクムクと沸き上がっていた。





一方その頃__


スマホをベッドに投げると、類は再びその体をベッドに横たえた。
そして目を閉じようとした瞬間ふと独りごちる。

「・・・・・・どうやら今回は返り討ちにあったのは牧野みたいだね。司のことだから味をしめてまたよからぬことを考えそうだけど。
でも牧野もバカじゃないからそうそう上手くはいかないよ。次こそ痛い目あわなきゃいいけど。・・・ま、俺には関係ないけどね」

そんな事を言うとやれやれと再び深い眠りについたのだった。





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コメント
--たや※様<拍手コメントお礼>--

ひっそりと立ち上げたばかりの当サイトに気付いてくださった上に拍手、コメントまで有難うございます!
驚いたと共に本当に嬉しいです^^

司の拷問、楽しんでいただけましたか?
俺様な彼ですが、なんだかんだで本当はドMなんじゃないかと思うことが多々あるのは私だけでしょうか?(笑)

これからも楽しんでいただけるように頑張りますので宜しくお願いします(*´∀`*)
by: みやとも * 2014/10/27 02:29 * URL [ 編集 ] | page top
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