晴れ、ときどき×× 3
2014 / 11 / 01 ( Sat ) 「そういえばこの前滋さんがお見合いしなきゃいけないかもって言ってた御曹司はどうなったんですか?」
「あ~、あれはダメダメ!だって超マザコンなんだもん」 「どういうことですか?」 「どうしてもって言うからとりあえず会ったのはいいんだけどさ~、何をするにも『母が、母が』の連発で。そのうちママ~って言い出すんじゃないかとゾッとしたわ」 「うわ~、それは最悪ですねぇ」 「マザコンだけは勘弁だわ・・・・」 あれからつくしが飲み始めたのをきっかけに、場は一気にくだけたものとなっていた。 貸し切りの部屋の中で飲めや食べろやの大騒ぎ。 女だらけの室内では一週間の疲れを吐き出すように話に花が咲き乱れている。 「御曹司って言ってもいろんなのがいるよねぇ・・・・」 滋がしみじみと噛みしめるように呟く。 「私が以前お付き合いしたことのある方はあっちの方に変な趣味をお持ちでしたよ。気付いてすぐにさよならしましたけど」 「えっ、なになに?桜子っ、詳しく聞きたい!」 またしても真っ先に食い付いたのは滋だ。 「よくある話ですよ。そういうときになったらいきなり紐を出して縛ってくださいって言い出したんです」 「ぶっ!!よ、よくある話じゃないでしょう?!」 予想外の内容につくしは思わず口にしていた唐揚げをふき出してしまう。 「意外とそういう趣味の人っているんですよ?先輩には想像もできないかもしれないですけど」 「そ、そういうもん・・・・?」 「そういうもんです」 はぁ~と世の中には色んな人がいるもんだと妙な感心をしてしまう。 「そういうつくしのところこそどうなのよ?」 「は?」 「司だよ、つ・か・さ!どんな感じなの?」 「ど、どんな感じって何が?!」 「だから~、変な趣味とかないの?」 「なっ、ないないないないないないないない!!!!」 そもそも変な趣味自体なんぞや?のつくしはぶんぶんと凄い勢いで首を振る。 「道明寺さんって意外と優しい感じがするんですよね」 「あー、それは言えてる。じゃなきゃ何年も待てないよね、普通」 「待ちに待って何年ですか?4年?5年?」 「つくし達がそうなったのって道明寺さんの帰国後なの?」 「うっ・・・・・・うん、まぁ・・・・・」 「ほら~!普通はそんなに待ってくれないって。やっぱり司は優しいんだよ」 「本人がその気になれば女なんて選り取り見取りな人ですからね。それがわざわざ先輩みたいなド庶民を選んで何年も待つ・・・そうそうできることじゃないですよ」 「つくし、よかったね」 「ド庶民は余計でしょうよド庶民は・・・・まぁ否定しないけどさ」 いつの間にやらまた話のターゲットが自分になっていることに何とも言えない居心地を感じながら、つくしは苦笑いするしかない。 「でも何年もって言ったって、あいつがいなかったんだからどうしようもないっていうか・・・・不可抗力でしょ?」 「でもただの一度も会えなかったわけじゃないでしょ?普通ならその時にやることやっちゃうって」 「で、初めてはどういうシチュエーションだったんですか?」 「えっ!!」 「今さらカマトトぶらないでくださいよ?減るものでもあるまいし教えてください」 「聞きたい聞きたいっ!!」 またしても6つの目がキラキラと一点に集中している。 何故にこんな展開になってるんだ?と思いつつどう考えても逃げられる状況ではない。 「う・・・・・だから、あいつが帰国して・・・・・」 「して?」 「有無を言わさず邸に連れて行かれて・・・・それで・・・・」 「そのままやったのっ?!」 「ちょっとっ!やったとか言わないでよ!」 「だってやったんでしょ?」 「うぅっ、・・・・・・・・・・・・・うん」 その言葉にキャーっと3人の黄色い声が上がる。 ますます目が輝いているのは気のせいだろうか。しかも怪しく。 「で?で?どうだった?」 「もういいじゃん!私の話はこれで終わりっ!」 「ダメっ!!私たちだって話したんだから次はつくしの番だよ!」 そう。これまで盛り上がりに盛り上がってそれぞれの体験談を話しまくっていたのだ。 花より団子、飲食に夢中なつくしは話半分で聞き流していたがまさここに来て自分がターゲットになろうとは。 「どうだったって・・・・わかんないよ。だって比較する相手がいないんだもん」 「あ~、それは確かに。しかも初めて同士だもんねぇ」 「とりあえず痛かったって記憶しかない」 「まぁ最初は皆そうですよね。というか道明寺さんだとさらに痛そうですね」 「つかさってなんか凄そうだよね。あの体のデカさだもん。あっちもすごそう」 「で、実際どうなんですか?」 「しっ、知らないよ!だから比べたこともないからわかんないって!」 「じゃあテクニックは?」 「わかるわけないじゃん!っていうかなんでこんな話になってんのよ?!」 「え~、だって女子会の醍醐味じゃん?」 「そんなん知らないよ!」 とりあえず話の流れを断ち切ろうと目の前にあるアルコールを流し込むが、追及の手は緩むことを知らない。 「まぁ仮にテクニックがなくても司の場合持久力で勝負って感じじゃない?」 「無尽蔵の体力っぽいですもんね」 「たしかに・・・・」 本人の言葉なんて関係なしに言いたい放題盛り上がる3人に呆れながらさらに一口飲み込む。 「先輩わかってますか?自分がすっごーーーく恵まれた立場にいるってこと」 「なにがよ」 「だってあの道明寺さんですよ?彼ならお金払ってでも付き合いたい、一晩を共にしたいって女がゴロゴロいるんですよ。それなのに彼を独り占めできてるってことがどれだけ凄いことなのか」 「そんなこと知らないよ・・・」 「そうだよ、つくし-!私と桜子でもダメだったんだからね?つくしはすごいんだよ」 「あの道明寺さんが選んだのはド庶民の先輩なんですから」 「だからド庶民はいいでしょって・・・・否定できないけど」 庶民と言うよりもむしろド貧乏と言った方が正しいのではなかろうか。 我ながらそう思いつつつくしは目の前のチーズを一口放り込む。 「金持ちでルックス最高、しかも一途、もう言うことないんじゃない?」 「あいつの場合性格に最大の難ありでしょ」 「でもそれもつくしに出会って劇的によくなったじゃん。あれ以上の相手はいないと思うけど」 「・・・・・・・・別にあたしは・・・・・」 もごもごと咀嚼していた口と共に言葉がそこで止まる。 「・・・・どうしたんですか?先輩」 不思議そうに顔を覗き込む桜子を視界に捉えながら、つくしは前を見据えてぽつりぽつりと呟くように口を開く。 「あたしはさ、別にあいつが金持ちだからとか見た目がいいとかそんなことはどうでもいいんだよ」 「いきなり無一文になったとしても?」 「あははっ!そういうときこそ私の出番じゃない?逆境には強いつもりだからどうとでもなるって」 「つまりはどんな道明寺さんでも好きってことですか?」 真っ直ぐ射貫くように自分をみている桜子から視線がそらせない。 酔っているせいだろうか、その視線がいつもなら口にしないようなことを素直に出させていた。 「・・・・・うん。別にあいつが御曹司だろうが貧乏だろうが、あいつがあいつであることに意味があるっていうか。・・・・・そのまんまの道明寺司がいいの」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・だそうですよ?道明寺さん」 「えっ?!」 聞き捨てならないセリフに桜子を見ると、その視線はいつの間にか自分の背後へと移っている。 まさか・・・・?! 驚きに目を見開いてバッと振り返ると、そこにはいるはずのない男が壁にもたれるようにして立っていた。 「なっ?!な、な、な、なっ・・・・・・?!」 「よう」 「さ、桜子っ?!あんた謀ったわね?!」 ガバッと桜子の方に振り返ると、つくしの怒りなんて何処吹く風とばかりに涼しい顔で微笑んでいる。 「人聞きの悪いこと言わないでください。私は何もお教えしてませんよ?ただ道明寺さんにここにいるのかと聞かれたのではいとお答えしただけです」 「そんなん屁理屈だっての!あんたってやつは~~~!!」 「三条、助かったぜ。こいつ連れて行くから」 「どうぞどうぞ。煮るなり焼くなりお好きにしてください」 寄りかかっていた壁からようやく体を起こすと、司は後ろからいとも簡単につくしの体を担ぎ上げた。 「ちょっ、ちょっとぉっ?!バカバカバカっ!離せ、離せ、離せぇ~~~っ!!」 司の肩の上でジタバタと全力で暴れ回るが、そんなつくしの扱いにもすっかり手慣れている司はびくりともしない。 「司~、これつくしの荷物」 「サンキュ。ここは俺が出しといたから好きにやれ」 「さすがは司~!サンキュ~!」 「道明寺さん、ありがとうございます」 「あぁ、じゃあな」 滋から荷物を受け取ると、司は迷うことなく扉へと歩き始めた。 「じゃあなじゃないっ!!おろせおろせぇっ!!っていうか桜子ぉっ、あんた次に会ったときには覚えときなさいよ!ただじゃ済まないんだから!」 「お前耳元でうるせーよ。仕事帰りで疲れてんだからちったぁ静かにしろ」 「そんなん知るかぁ!っていうかまだ怒ってるんだから!離しなさいよこのバカッ!!」 「どんな俺でも好きなんだろ?」 「なっ・・・・・・・・・??!!!!」 突然司の口から飛び出した爆弾発言につくしの動きがピタリと止まる。 こ、この男一体いつからあそこに・・・・? 考えたくない想像が頭を駆け巡り全身がゾッと震え上がる。 「じゃあな」 司はそんなつくしの様子に満足そうな笑みを浮かべると、軽く振り返って一言放つと颯爽と部屋から出て行った。 長くせずして再びギャアギャアと喚く声が聞こえ始めるが、残された3人は全く気にもとめることなく飲食を再開していた。 「司、いつ戻ってきてたの?」 「さっき電話があったときみたいですよ。先輩と連絡が取れないからいてもたってもいられなくて、相当早く仕事を終わらせて帰ってきたみたいです」 「つくしがいたら道明寺さんの仕事の回転率がすごそうですね」 「つくしニンジンを追いかける司馬・・・・・・」 「ぶっ、ぶはははははははははっ!!!!まさにそれだっ!!!」 滋の呟きに全員がお腹を抱えて笑い転げていたなんて、当の本人は夢にも思わぬに違いない。 ![]() ![]()
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by: * 2014/11/01 13:31 * [ 編集 ] | page top
--ブラ※※様--
はい、つくしの専売特許のカマトトでございます(笑) そして坊ちゃんは多分馬より凄いかと・・・・ゴクリ --管理人のみ閲覧できます--
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はじめまして! こんな辺鄙なサイトを見つけてくださり有難うございます(*´∀`*) ・・・はい、そのもしやでございます。 某委員会にも出没させていただいております。 花男、何年経っても色あせずに楽しいですよね! 最近二次も再び賑わいを見せていて私も幸せです~。 私の文章は多分小学生レベルだと思うので、誰でも読めるかと思います。 難しいのは書けないんです。トホホ・・・ 何か一つでも気にっていただけるお話が書けるように頑張ります! こちらこそ今後とも宜しくお願い致します(*^o^*) |
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