また逢う日まで エピローグ
2015 / 12 / 23 ( Wed ) 本日2回目の更新となります。見落としのある方はご注意を!!
「ねぇ、ほんとにやるの・・・?」 「あ? ここまで来て今さらなに言ってんだ」 「だって・・・人目だってあるのに・・・」 「んなもん今さらだろうが。お前を世界に紹介するには一石二鳥なんだよ。ほら、来い」 「わわっ!」 グイッと純白の手袋を嵌めた手を引くと、一気に眩しい太陽が姿を現す。 その瞬間ワァーーーーーッと歓喜と祝福の嵐が巻き起こった。 「つくしーーーーっ、綺麗だよ~っ!!」 「よう、牧野っ、今日だけは別人みたいに綺麗に化けてるぞ!」 「つ、づぐじぃ~~っ!」 「おい親父、しっかりしろよ!」 「うぅ゛っ・・・」 溢れる人波の先頭に立つのは愛すべき家族と友人達。 涙を流す者から茶化す者まで。その全てに愛を感じる。 そんな彼らから今日偶然この場に居合わせただけの人まで、1人1人全ての者の顔には満面の笑みが浮かんでいた。心から嬉しそうに、幸せそうに。 それを見ていたら、さっきまで緊張のあまり足が竦んでいたことが嘘のように体中から余計な力が抜けていった。世界中全ての人が自分達を祝福してくれているのではないだろうかなんて、そんな錯覚すら覚えてくる。 でも今くらいはそう思ったっていいよね? 「な、俺の言ったとおりだろ。ぜってーお前も喜ぶって」 「うん・・・。ありがと、司」 「お、おぅ」 つくしが素直なときの上目遣いほど厄介なものはない。 しかもこの女は人が手を出せねー時に限ってやりやがる。 司は心の中で舌打ちしつつ、ほんのり頬を染めながらプイッとそっぽを向いた。 「あれ、何か赤い?」 「ちげーよ! これは日焼けだ、日焼けっ!!」 「日焼けって・・・まだ太陽に当たって1分も経ってないんですけど・・・」 「うるせーな、世の中には人知を超えた化学が存在すんだよ!」 「人知って・・・」 タキシードに身をつつんで世界一いい男になったと言っても過言ではないのに、相変わらずこの男は何を言っているのか。堪らずつくしは吹き出した。 「いいから、ほら行くぞ」 「う、うん。・・・あ~、やっぱり緊張してきた」 「周りの目なんか関係ねーだろ。お前は俺だけ見てりゃいいんだよ」 「プッ! 相変わらず何様よ」 「俺様だろうが」 「はいはい、そうでございました」 どちらからともなく顔を合わせて微笑むと、つくしは司の腕に自分の手を絡めてゆっくりと一歩ずつ歩き出した。 『 あの島で式を挙げようぜ 』 先に入籍を済ませていた2人が式を挙げる場所に選んだのはこの島。 司の提案に、つくしも迷うことなく二つ返事で承諾した。 だがつくしの予想と違ったのは、それがこじんまりとした式ではなかったということ。 正確に言えば挙式自体は近親者だけで厳かに執り行われたのだが、問題はその後だった。 なんと、ビーチで撮影をするというではないか。 しかもプライベートビーチをその時だけオープンにして、一般人も自由に見られる状態で。 リゾートウエディングの第一号として、財閥のトップその人が広告塔を買って出たのだ。 『 お前のあのCMを流したときからこうすることは決めてたんだよ。だからこれも全て運命だと思って諦めろ 』 恥ずかしさに戸惑いを隠せないつくしに何ともあっさりと言ってのけた男。 一体どれだけの自信をもっているというのか。 そもそも本人の意志確認など何一つしていないというのに、呆れるやら何やら。 ・・・それでも、それでこそ道明寺司だと思った。 いつだって、迷った自分の手を力強く導いてくれる男。 それこそが自分が愛したただ一人の男。 「 愛してるぜ、つくし 」 頬に手を添えてそう囁くと、つくしはほんのりと頬を染めて嬉しそうにはにかんだ。 俺の愛する女は世界で一番美しい花嫁だと声を大にして世界中に言って回りたい。 ・・・だが言わずともそれを知らしめるのはそう遠くない未来に待っている。 司はその未来を想像してクスッと笑った。 「 あたしも・・・愛してるよ、司。ずっとずっと、永遠に ___ 」 互いの瞳に映っているのは愛する者の姿だけ。 どちらからともなく笑い合うと、まるで吸い寄せられるように唇が重なった。 その瞬間バシャバシャッとシャッター音が響き渡る。そして悲鳴にも似た歓声も沸き上がった。 だが2人の耳にはそんなことは一切届かない。 見えているのは互いの姿だけ。 聞こえているのは互いの声だけ。 今ここにいるのは永遠を誓い合った愛する人だけ ____ ダイヤモンドのように輝く海と太陽を背に、美しく幸せな顔で笑い合う夫婦の姿は、その場にいた全ての者の呼吸をも止めた。 そしてそれが大々的に世界中へとお披露目される日も ___ そう遠くない未来の話。 < 完 >
「また逢う日まで」 これにて完結です。書こうと思えばあれやこれやとエピソードは増やせるのですが、あくまで本編での空白の期間を埋めるための番外編でしたので、余計なことは増やさずにまとめました。増やすと際限なく長くなってしまいますのでね(^_^;) 予定ではこの1つ前の話は存在しなかった(正確には後半部分だけあった)んですが、その前の司の恋する男子っぷりがやけに好評でして、その後について一切触れないとマズイ?!と、慌てて加筆修正しました(笑) またこちらを読んでからもう一度本編も楽しんでもらえたら嬉しいです(*^^*) 明日からはがらっとカラーの違う短編をお届けしますのでお楽しみに!
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by: * 2015/12/23 06:13 * [ 編集 ] | page top
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「また逢う日まで」楽しませて頂きました。どんなお話でもハラハラ胸キュンものですね。私ごとではありますが今日は息子の結婚式で式場に向う電車の中でコメントを書いてます。息子達にもそれなりのドラマがあり、今日を迎えました。花婿の母として泣いてまいります。 次回からも楽しみにしています。 --管理人のみ閲覧できます--
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CMは最終回を書いた時、有難いことに好評だったんですよね。 なので番外編を書くときには少し撮影風景なんかを書けたらいいな~と思ってました。 こんなに幸せそ~な二人ですが、冒頭はあんなんでしたからねぇ・・・( ̄∇ ̄)ナツカシイ・・・ あんたたち同一人物かいな?!とツッコミたくなるのは自然の感情ですね(笑) ちなみに本式には楓さんは出てますがこちらの人前式(?)には当然いません(^◇^;) いやぁ、彼らが幸せになってくれてよかったよかった(*^o^*) --t※※o様--
えっ?クリスマスプレゼントになりました? 明日からのクリスマス短編はどうしましょう。 来年まで延期でもいいかしら?(笑) とにかく昨日の司には母性本能をくすぐられた乙女が多発しまして。 これはやべーーー!!!と慌てて書き直すはめに。 司、コノヤローーー!!(笑) --ゆ※ん様<拍手コメントお礼>--
この話でのつくしは割と恋愛偏差値高い方ですよね。素直といいますか。 時間をかけて好きになったことがそうさせてるんですかねぇ。 人前でブッチュブッチュなんて私にはできませーーーん!!(≧∀≦) --さち子ママ様--
きゃあ~!!それはそれはおめでとうございますっ!! そんな大事な日のお供に私の話を読んでいただけているとは・・・いや~、ご縁って不思議なものですね。有難いことです(*^ー^*) きっととっても素敵な結婚式になったことでしょうね。 立派に息子さんを育てられてきたことを心から尊敬します! --サ※様--
遅い時間なのに楽しみに待ってもらえていること、本当に嬉しいです。 有難うございます(o^^o) 私も実生活では枯れ葉もまっつぁおなくらいの枯れっぷりでございますが、こうしてせめて妄想の世界だけでも潤っていたいと日々現実逃避をしています(笑) そうそう、犬派だったけどバナーがきっかけで猫も好きになってきました!なんてコメントを時々いただくんです。そんな風に影響しているなんてびっくりだったので頑張った甲斐があったなー、なんて(笑) 明日からクリスマス短編です。また全く雰囲気が違う物語ですのでお楽しみに! --し※く様<拍手コメントお礼>--
嬉しいお言葉有難うございます(*^^*) ラストはひたすらラブラブモード全開だったので、約100話の中で山あり谷ありだったことがまるで嘘のようですね。 序盤は皆さんの反応も不安げだったのを思い出します(笑) いえいえ、優しいだなんてとんでもありません。理想と妄想だけをギュギュッと詰め込んでお届けしてるだけですよ(笑) --うか※※ん様--
鬼畜司(女にだらしない)を書かないとなると必然的につくし命の司になっちゃうわけで。 話を書けば書くほどどんな話がいいだろうと悩むんですよね。 なるべくワンパターンにならないように・・・と思ってはいるものの、実際に考えるのはなかなかに難しいです。なので皆さんの反応が楽しみでもあり怖くもあり(笑) こうして楽しかった!!という感想をいただけると本当に嬉しくてほっとします(*^^*) 明日からはクリスマス短編をお送りしますのでお楽しみに! ちょっと意外な展開かもしれません。 つくしちゃんの誕生日?!ヤバイ、今のところ計画ナッシング・・・( ̄∇ ̄) --まり※※こり--
わぁ、遅い時間なのにそんなに楽しみに待ってもらえてたなんて嬉しいです! 有難うございます~(*´∀`*) 前半で険悪だったのが嘘みたいな幸せラストになりましたね。 もう記憶喪失になるんじゃないぞーー!!と拡声器使って言っておこうかな(笑) --マ※助様--
ね~、CMをリアルで見てみたいですよね~! 世の中に司ファンが激増するんだろうなぁ・・・ そしてつくしにゾッコンなのを見せつけられて撃沈するまでがワンセット(笑) 明日からはクリスマス短編です。 ガラリと雰囲気が変わりますし、多分予想外の展開に「えっ?!」となるかもしれません。 心を込めて書いたので楽しんでいただけたら嬉しいです^^ --管理人のみ閲覧できます--
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たくさん胸キュンしていただけて何よりです! やっぱり一番は布団に隠れてジタバタする司ですかね?( ´艸`) 本編と見比べると余裕そうに見えて実はこんな感じだったんだ!とわかって楽しいですよね。 喜んでもらえて私も嬉しいです~^^ --ナ※サ様--
あはは、司ってはズッキュンズッキュンしまくりですね! あっちこっちでノックアウトされた人が続出のようで(笑) 一見すげークールぶってて実は裏ではこんなにわちゃわちゃしてたなんてね(≧∀≦) こういう二面性が彼を好きになる理由なんでしょうね~! --莉※様--
皆さんにこんなに喜んでもらえて番外編書いて良かったな~と思います。 有難うございます(*^^*) 悪い癖でズルズル長引いてしまいそうだったので最後はちょっと力技でまとめましたが(笑) 総二郎だと確かにこんな感じにはならないかもしれないけど、遊び人だった彼だからこその純愛の描き方があると思うんですよね~。彼のような男が1人の女性にのめり込んでいく姿、かなり好物です( ´艸`) --黒髪の※※子様--
楽しんでいただけたようで私も嬉しいです^^ 二次はそれこそ色んな世界観が存在するのが楽しいのかな~と思ってます。 皆が皆右向け右だったらきっとこんなに二次の世界は発展してないと思うので。 そんな中から自分の価値観にピッタリ嵌まるものに出会えたら幸せですよね。 それを探すのもまた二次の楽しさだと私は思ってます^^ ところでご質問の件ですが・・・猫ちゃんはうちの子達も何度か登場してますし、基本的にはフリーサイトから話の内容に合いそうなものを探してきている感じですね。猫好きが高じて始めたことだったんですが、今ではこれを楽しみにしているなんて声も数多くいただいてまして。有難いやらプレッシャーになるやら(笑) それから旦那にはブログをやってることすら言ってません。言いません! まぁうっすら「こいつなんかやってるな」くらいは思われてるでしょうけど、もし旦那に読まれでもしたらもう恥ずかしくて二度と書かないかもしれません(笑)なので誰にも知られないようにひっそりと楽しんでます。 それでこの質問の中でひっかかったことがあるんですが、黒髪の※※子さんってやっぱり男性なんですかね?正直、ほんとはどっちなの?!と思うことが多々ありまして。 実際のところどうなんですか~~~!!(笑) --ta※※iaoi様--
皆さんの反応を見ていて、やっぱりあの空白の半年間を描いてよかったな~と思いました。 楓さんはなんとなくですけど、最初から負けるのを見越して賭けをしたんじゃないですかね。 でも2人がああいうことになって、それで離ればなれになるならそれはそれで一向に構わない。 逆にそれでも一緒になりたいと思うならそれ相応の覚悟を見せてもらう。 それもできないようなら門前払いもいいところって感じだったのかな~なんて。 つまりは彼女なりの激励だったんじゃないかと。まぁ絶対認めないでしょうけど(笑) だってあの楓さんがわざわざ賭けだなんて無駄なことするはずがないですもの。賭けを言い出した時点でつくしを認めてると言ってるようなものですよね。 司も最後よく頑張りました。色んな意味で(笑) --管理人のみ閲覧できます--
このコメントは管理人のみ閲覧できます --ke※※ki様--
想像以上に皆さんに楽しんでもらえたようで何よりです。 今回はほんと、つくしがいつになくポジティブでしたよね。 正直、原作のつくしって、こと恋愛に関してはかなりネガティブなイメージが強いです。 だからこそ二次のせかいでも「じれったい!」って場面が多々見られるんだと思いますが(笑) そういうらしさも残しつつニューつくしを書けたらいいなぁんなんて悩みながら書き続けました。いやー、番外編も含めて100話超えましたからね。途中どんなエピソードあったっけ?って感じです(^◇^;)読み返す暇もないしな~ 次の長編はまだ浮かんできませんねぇ・・・ --管理人のみ閲覧できます--
このコメントは管理人のみ閲覧できます --黒髪の※※子様--
いやいや、旦那には何があっても見せる気はありません。 たとえ上手いと褒められようとも嫌です(笑) なんといいますか、誰か身近な人が見てると思うだけでもう萎縮しちゃって自由な発想ができなくなっちゃうと思うんですよね。それこそパス付きなんて見られた日にゃあ悶絶死します(^_^;) リアルではこんな乙女思考とは真逆なのでね。 こうして顔の見えない皆さんとワチャワチャやってるのが一番楽しいです^^ それにしても私の質問の答えがないじゃないですかぁーーーーっ!!(`Д´) |
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